DAY10「顧客獲得コストと利益を比較し、投資利益率を見極めろ!」

顧客のライフタイムバリュー(LTV)は、1人の顧客が企業と取引を続ける期間にわたって生み出す付加価値の総額を示す指標です。

MIX会計では、付加価値が最も重要な指標であるため、LTVの計算も付加価値をベースに行います。

今回は、このLTVをどのように計算し、それが会社に与える影響を見ていきましょう。

1. LTV(ライフタイムバリュー)とは?

LTVは「ライフタイムバリュー」の略で「顧客生涯価値」のことです。

1人の顧客が生涯を通じてどれだけの付加価値を会社にもたらすかを示す指標です。

これにより、顧客1人当たりの長期的な価値を把握でき、新規顧客獲得や顧客維持のためにどれだけのコストを投資すべきかの判断材料となります。

公式

LTV(顧客生涯価値) = 1回あたりの平均付加価値 × 取引回数 × 顧客との取引期間

この公式により、1回の取引で生み出される付加価値をベースに、顧客がもたらす総価値を計算することができます。

2. LTVの計算方法

具体的な例を使って、LTVの計算方法を見ていきます。

例:5ヶ月間の取引パターン

1ヶ月目:1回

2ヶ月目:2回

3ヶ月目:1回

4ヶ月目:2回

5ヶ月目:1回

5ヶ月間の合計取引回数は、1回 + 2回 + 1回 + 2回 + 1回 = 7回です。

したがって、5ヶ月間の平均取引回数は、7回 ÷ 5ヶ月 = 1.4回となります。

LTVの計算例:

LTV = 5000円(平均付加価値) × 1.4回(月間平均取引回数) × 5ヶ月(取引期間) = 3万5000円

この結果、1人の顧客が5年間で会社に5万円の付加価値を生み出していることがわかります。

3. LTVと顧客獲得コスト(CAC)の関係

LTVが高ければ、それだけ顧客からのリターンが大きいことを示します。

顧客獲得コスト(CAC)と比較することで、投資対効果を確認することができます。

一般的に、LTVがCACを上回る場合、その顧客は会社にとって非常に利益をもたらしていると言えます。

公式

LTV ÷ CAC = 顧客獲得投資利益率

この指標を使うことで、顧客1人当たりの投資がどれだけのリターンを生み出しているかを確認できます。例えば、LTVが5万円で、CACが3万円の場合、顧客獲得投資利益率は次のように計算されます。

計算式

5万円(LTV) ÷ 3万円(CAC) = 1.67

この結果、1人の顧客に投じたコストに対して1.67倍のリターンが得られていることがわかります。

4. LTVを最大化するための戦略

LTVを最大化することで、顧客1人当たりの付加価値をさらに増やすことができます。

以下の戦略を活用して、LTVを最大化しましょう。

・顧客維持率を高める: 顧客との長期的な関係を築き、リピート率を上げる。

・アップセルとクロスセルを活用する: 顧客により高価な商品や追加のサービスを提案し、取引額を増やす。

・カスタマーサポートを強化する: 高品質なサービスを提供し、顧客満足度を向上させることで、取引期間を延長する。

5. LTVが経営に与える影響

LTVを理解することで、企業は長期的な成長戦略を立てやすくなります。

新規顧客獲得にかかるコストだけでなく、既存顧客との取引からどれだけの付加価値を生み出せるかを評価することで、経営判断がより戦略的になります。

まとめ

顧客のライフタイムバリュー(LTV)は、長期的なビジネスの成長を支える重要な指標です。

LTVを把握し、顧客獲得コスト(CAC)と比較することで、どれだけのリターンを得ているかを確認し、さらにそのリターンを最大化するための戦略を実行することが可能です。

関連記事

TOP