顧客獲得コスト(CAC)を把握するだけではなく、それが会社にどれだけの利益をもたらしているかを評価することが重要です。
今回は、顧客獲得コストと利益を比較し、「投資利益率(ROI)」を計算する方法を見ていきましょう。また、付加価値を使った別の指標も考慮します。
1. 顧客獲得コスト(CAC)と利益を比較する理由
顧客獲得コストを正確に計算したら、そのコストがどれだけの利益を生み出しているかを確認する必要があります。
このために、「投資利益率(ROI)」という指標を用います。
これにより、顧客獲得のためにかけた費用が、どれだけの純粋な利益をもたらしたかがわかります。
2. 投資利益率(ROI)の基本公式
投資利益率(ROI)は、次の公式で計算されます。
公式
投資利益率(ROI)= 利益 ÷ 顧客獲得コスト(CAC)
この公式を使うことで、顧客獲得コストに対してどれだけの利益が得られたかを評価できます。
ROIが高いほど、投資に対するリターンが大きいことを示します。
3. 実際の計算例
具体的な例を使って、ROIの計算方法を見ていきます。
例)
ある企業が1人の新規顧客を獲得するために3万5000円の顧客獲得コスト(CAC)をかけたとします。この顧客が1年間で生み出した利益が5万円だと仮定すると、投資利益率(ROI)は次のように計算されます。
計算式
ROI = 5万円(利益) ÷ 3万5000円(顧客獲得コスト) = 1.43
この結果、1人の顧客を獲得するためにかけた費用に対して、約1.43倍の利益が得られていることがわかります。
4. 付加価値と顧客獲得コストを比較する別の指標
次に、顧客が生み出す付加価値を基にした指標を考えましょう。
ROIでは利益を基に計算しますが、付加価値はより広い視点で、会社が顧客に提供した価値を反映する指標です。
新しい指標の例
付加価値収益率(VAR: Value Added Ratio)
VAR = 付加価値 ÷ 顧客獲得コスト(CAC)
この指標は、顧客獲得に投じたコストがどれだけの付加価値を生んだかを測定します。
これにより、単なる利益ではなく、顧客との全体的な関係から生まれる価値を評価できます。
5. ROIとVARを最適化するには?
ROI(投資利益率)とVAR(付加価値収益率)を最適化するためのアプローチを見ていきましょう。
利益を増やす: 製品やサービスの価格設定や効率を見直し、利益を最大化します。
付加価値を高める: 顧客に提供する価値を増やし、顧客の満足度やリピート率を向上させます。
顧客獲得コストを最適化する: 無駄なコストを削減し、効率的なマーケティングや営業戦略を実行します。
まとめ
顧客獲得コストと利益を比較することで、会社の投資がどれだけのリターンを生んでいるかを評価できます。
ROIを使って純粋な利益を確認し、VARを使って付加価値の視点で評価することで、より包括的な経営判断が可能になります。