顧客維持コストは、既存顧客に価値を提供するコスト、継続的な関係を築くために要するコストです。
新規顧客を獲得するコスト(顧客獲得コスト)と異なり、既存顧客を維持するために自社が生み出す価値を確保するための費用が含まれます。
今回は、顧客維持コストに含まれる費用の内訳と、それが品質や納期、顧客の継続率をどう向上させるかについて詳しく見ていきます。
1. 顧客維持コストに含まれる費用
顧客維持コストは、単なるサービスやアフターケアにかかる費用だけではありません。
製造経費や生産部門の人件費(労務費含む)、減価償却費といった、P/L(損益計算書)上の全部原価に関連する費用のうち、自社が価値を生み出すために必要なコストが業務費用として顧客維持コストに組み込まれます。
・顧客維持コストに含まれる具体的な費用
製造経費: 商品を製造するためにかかる工場の光熱費や維持費など。これらは、既存顧客に継続的に製品を供給するために必要です。
生産部門の人件費(労務費): 生産部門で働く従業員の給与や法定福利費など。これは、品質を保ち、期限内に商品を納品するための重要なコストです。
減価償却費: 工場や機械の設備投資に対する償却費。顧客が必要とする製品を安定して供給するために必要なインフラを維持するための費用です。
2. 顧客維持コストの効果:品質、納期、継続率の向上
顧客維持コストは、単にコストとして捉えるのではなく、投資として理解することが重要です。
このコストは、顧客に対して継続的に価値を提供し、顧客満足度を高めることで、リピートビジネスを促進します。
・品質向上
製造経費や生産部門の労務費など、顧客維持コストに含まれる費用は、製品やサービスの品質に直接影響します。
品質の高い商品を提供することで、顧客はその価値を認め、長期的に信頼を寄せるようになります。
製造経費が安定していることで、商品品質を維持でき、顧客が求める水準の製品を提供できる。
生産部門の人件費を適正に支払うことで、従業員のスキルやモチベーションが向上し、結果として製品の品質向上に繋がります。
・納期の遵守
顧客維持コストには、製品の生産やサービス提供の効率性を保つための費用も含まれます。
これにより、納期の遵守が可能となり、顧客からの信頼が向上します。
労務費や減価償却費を適正に管理することで、生産性が向上し、遅れのない納品が実現します。
納期を守ることは、顧客との信頼関係を強化する重要な要素です。
・顧客の継続率向上
既存顧客に対して高品質な製品やサービスを提供し、納期も確実に守ることで、顧客は安心してリピート購入を続けます。
これにより、顧客の継続率が向上し、企業の持続的な成長に寄与します。
顧客維持コストを適切に投資することで、顧客は長期的に自社の商品やサービスを選び続ける可能性が高まります。
3. 顧客維持コストの計算方法
MIX会計では、顧客維持コストは業務費用の一部として計上されます。
これには、顧客獲得コストや本社費を除く、顧客に価値を提供するためにかかるすべてのコストが含まれます。
顧客維持コストの算出:
顧客維持コスト=製造経費+生産部門・サービス部門の人件費+減価償却費+その他の維持費
製造経費や生産部門の人件費、さらには減価償却費などを足し合わせることで、顧客維持コストの全体を把握します。
これらのコストは、直接的に既存顧客に価値を提供するための投資として位置づけられます。
まとめ
顧客維持コストは、製品の品質を保ち、納期を守り、顧客の継続率を高めるための重要な投資です。
このコストには製造経費や労務費、減価償却費といった、顧客に継続的に価値を提供するための費用が含まれます。
顧客維持コストを適切に管理し、投資することで、企業は長期的な成長を実現し、顧客との強固な信頼関係を築くことができます。