業務効率化を実現するためには、単に一部分の生産性を向上させるだけではなく、システム全体の生産性を最大化することが必要です。
そのための重要な鍵となるのが「ボトルネック」を特定し、それを解消することです。
今回は、ボトルネックの解消がどのように全体最適をもたらすのかを掘り下げていきます。
受注・生産・納品を1つのシステムとして捉える
ビジネスプロセスを効率化するためには、受注から生産、そして納品までのプロセスを1つのシステムとして捉えることが重要です。
すべてのプロセスが互いに連携し、1つの流れとして機能することで、業務全体の効率を高めることができます。
ポイント
受注 → 生産 → 納品という一連の流れを「システム」として把握。各工程が独立しているわけではなく、全体の生産性は最も遅い部分(ボトルネック)によって決まる。
ボトルネックとは?
ボトルネックとは、システム全体の流れを遅らせているプロセスや工程を指します。
この部分が原因で、他の工程がどれだけ効率的に動いていても、全体の生産性が制限されます。
たとえば、生産工程において1つの機械が他の工程よりも遅い場合、それがボトルネックとなり、全体の生産スピードがその機械の能力によって決まります。
・ボトルネックの特徴
生産ラインや業務プロセス全体のスループットを制限している部分。
ボトルネックの能力を超えて作業を進めても、他の部分で待機や停滞が発生し、全体の効率が低下する。
インプットからアウトプットまでのリードタイムは、ボトルネックの能力に従う
ビジネスプロセスを効率化しようとすると、よくある間違いは「1つの業務プロセス」「1つの作業工程」の生産性を高めようとしてしまいます。
しかし、1つ1つのプロセスの生産性を高める「個別最適」を実現しても、システムのインプット(受注)からアウトプット(納品)までのリードタイムを最速にすることはできません。
例えば、工程がA、B、Cとあって、すべての工程を完了しないと納品できないとします。1時間あたり生産量が
工程A:100個
工程B:50個
工程C:80個
だとすると、1時間ごとにアウトプットできるのは50個です。
そこで、工程Cを1時間に100個生産できるように強化したとしても、アウトプットできるのは50個のままです。
なぜならば、全体の生産性は最も遅い部分(ボトルネック)の能力によって決まるからです。
したがって、システムのアウトプットを高めるためには、ボトルネックを発見しそのボトルネックを強化することが極めて重要なのです。
このように、システム全体のアウトプットを最大化する考え方を全体最適といいます。
真の業務効率化とは、1工程の生産性ではなくシステム全体の生産性
業務効率化の目標は、システム全体の生産性を向上させることです。各工程の部分的な改善よりも、ボトルネックを解消し、全体の流れをスムーズにすることが真の効率化につながります。
<戦略>
各工程の生産性を個別に高めるだけではなく、システム全体の生産性に目を向ける。ボトルネックの特定と改善が最優先課題であり、他の部分の最適化は後回しにする。
ボトルネックを解消すると生産余力が生まれる
ボトルネックを解消することで、生産の停滞がなくなり、全体的にスムーズな流れが実現します。
これにより、システム全体の生産能力が向上し、リードタイムも短縮されます。
<効果>
ボトルネック解消によって、従来よりも多くのインプット(受注)を処理できるようになる。リードタイムが短縮され、納品スピードが向上することで、顧客満足度も向上。
生産余力が生まれると新規受注を拡大させることができる
ボトルネックの解消によって生まれた生産余力は、新規受注の拡大に直結します。
余力を活かして、より多くの注文を処理できるようになれば、売上の増加や市場シェアの拡大が期待できます。
<戦略>
生産余力が生まれたら、その余力を新規顧客の獲得や既存顧客の需要拡大に活用する。ボトルネックの解消と同時に、営業部門と連携し、拡大した生産能力を最大限に活かす戦略を立てる。
まとめ
ボトルネックを解消することで、業務効率化と全体最適が実現します。
真の業務効率化は、システム全体の生産性に注目し、ボトルネックを特定・改善することが鍵です。
ボトルネックが解消されることで、リードタイムの短縮、生産余力の創出、新規受注の拡大など、ビジネス全体に多大な効果をもたらすでしょう。